¡Ole! Flamenca! 3「スパニッシュ・コネクション」
- 2013/10/02 10:54
- カテゴリー:フラメンコほかライブなど
素晴らしいフラメンコ・アーティストをご紹介する"¡Ole! Flamenca! "
第三回は"スパニッシュ・コネクション"の皆さまである。
――インドから東欧を経てスペインのアンダルシアへと至るジプシーの道筋を、そこで生まれたフラメンコ・ギター、ヴァイオリン、タブラといった楽器と共に音楽で旅する――
(公式サイトより引用)
スパニッシュ・コネクションは、こんな素敵過ぎなコンセプトの下に2000年に生まれた。三人の卓越したミュージシャンは、ほかでは決して聴くことのできない音楽を生み出す。フラメンコをベースにしながらも、音の匠たちが、織りなし編み上げてゆく音のるつぼは、いつも、ワールドワイドでエキサイティングだ。
スパコネが創り上げる音楽のジャンル分けは不可能だし、無意味でもあろう。
今月7日の土曜日を、僕は何ヶ月も楽しみに待っていた。 平塚にあるレストラン・サンタナにスパニッシュ・コネクションがやってくる! ここ数年、サンタナのスパコネライブは欠かさず聴きに行っている。 弦楽四重奏を加えた、大きなホールの豪華なコンサートも楽しかった。 が、スパニッシュ・コネクションの演奏をリニアな環境で聴けるなんて本当に幸せな話である。 一度味わうと、麻薬のように病みつきになるのだ。 今回も音楽の旅を堪能しまくった、大興奮の一夜となった。
「天は二物を与えるのだ……」 僕は、平松加奈さんにお目にかかると、いつもそう思う。 加奈さんは、ミューズとアプロディーテーの二人の女神に微笑まれた女性だろう。 卓越したテクニックと深い音楽性は、いつも聴く者の心を震わせる。 ステージでは、しばしば、神が降りてきた。音楽の神さまが憑り移っている、と感じさせるのである。 この曲、"Spain〜La Fiesta"をお聞き頂きたい。 ミューズが微笑んだ加奈さんの演奏の素晴らしさを味わえる。 こちらは、スパニッシュ・コネクションではなく、加奈さんのリーダーバンドである "平松加奈 con Armada"のステージである。 演奏中は、神が憑り移る加奈さんだが、ひとたびステージを降りると、とても気さくなお人柄である。 ドギマギしている僕にも優しく声を掛けてくれる。 天から二物ではなく、三物に恵まれた方なのである。 加奈さんには、三年前に、本当にお世話になった。 僕が携わったあるパーティーで、面識もない僕の求めに応じて、演奏に来て下さったのである。 僕にとっては、大事なパーティーだったが、ステージも、PAも、楽屋も、すべてが仮拵えだった。 本当に不十分で、一流のミュージシャンをお迎えできるような環境ではなかった。 それでも、加奈さんは、終始笑顔を絶やさずにいて下さった。 オーディエンスは50人ほどだったが、本当に渾身の演奏をして下さった。 改めて、心よりの感謝を申し上げたい。
伊藤芳輝さんのギターは凄い。 リリカルなのに、卓越したギターテクニックに支えられた力強い演奏。 フラメンコ・ギターの表現力が、これほどまでに豊かなものだとは思っていなかった。 伊藤さんのギターを聴くまでは……。 だが、コンポーザー、アレンジャーとしての伊藤さんは、さらに凄いのかもしれない。 今回のアンコール・ナンバーだった『リベルタンゴ』のようなスタンダードも素晴らしいが、実は、伊藤さんのオリジナルナンバーが大好きである。 今回も僕の一番好きな『ファナ・ルビア 』を聴くことができた。 ぜひとも、この演奏を聴いて頂きたい。 伊藤さんの描き出すメロディは、世界的なヒットナンバーとなっても少しも不思議でない。 伊藤さんは、多くのCMソングを手がけ、NHK総合の土曜ドラマ『魂萌え!』など幅広い分野で活躍されている。 僕としては、NHK教育で長期間に渡って放映された、「連続人形活劇 新・三銃士」の仕事が、最も印象深い。 僕は伊藤芳輝さんに、感謝しなければならないのだ。 伊藤さんの創り出す音楽にインスパイアされて、小説を二本、書いているのである。 17世紀ものと18世紀もの、ともにスペインを舞台にした時代ミステリーである。 アレクサンドル・デュマ・ペールの三銃士はご承知の通り、フランスを舞台にした小説である。 だが、僕にとってこのCDは、スペインの街や古城を、存分にイメージさせてくれるものだった。 たとえば、『アトスのファルーカ』は、こんなにも古きヨーロッパを感じさせる。 二本の小説を書いている間は、ずっとスパニッシュ・コネクションのCDを流しっぱなしだった。 伊藤さんの、誰にも真似のできない音楽性で、さらに大きな仕事をされると信じている。 ブログを書いている今も、伊藤さんが演奏中の眉間に皺を寄せた厳しい表情が思い出されるが、 ステージを降りると、こんなにも優しい笑顔の持ち主である。
北インドの太鼓であるタブラは「世界で一番難しい打楽器」と呼ばれる。 20代の頃、ワールドミュージックにハマっていた僕は、『白熱のラーガ』なんてCDを訳もわからず聴いていた。 一時期は、タブラという北インドで生まれた打楽器の不思議さにハマっていたのだ。 インドの伝統楽器だけに、奏法も独特で、日本人のタブラ奏者は数えるほどである。 そんな中でも、吉見征樹さんのタブラは超絶としか言いようがない。 どうしてこんなリズム感を持っている人が存在するんだろう。 吉見さんの掌は、いったいどうなっているんだろう。 吉見さんが、ステージで見せる超絶のインプロビゼーションには、唸ってばかりである。 このサイトにも記されているが、幅広い分野の一流のミュージシャンと、コンボを組んでいらっしゃる。 中でも佐藤允彦氏と言えば、日本を代表するジャズピアニストである。 僕が高校生の頃、好きだったミュージシャンでもある。 ぜひ、いちど、吉見さんと佐藤氏との共演を聴いてみたい。 一流のプレイヤーでありながら、吉見さんの、おしゃべりパフォーマンスは楽しい。 MCは基本的には伊藤芳輝さんの担当なのだが、時々入る、関西風の突っ込みが最高である。 だが、シリアスな芝居もカッコいいのだと、今回、初めて知った。 今回は朗読活劇というスタイルで、司馬遼太郎の『燃えよ剣』から、 土方歳三の男の死に様を、カッコよく演じてくれた。 いつの日にか、自分の書いた一節を吉見さんに朗読して頂けるよう、 切磋琢磨していきたい。(←おいおい、司馬遼太郎とはタメ張れないだろ……)
伊藤寛康さんは、スパニッシュ・コネクションのメンバーではない。 だが、ライブでもCDでも、スパコネの音楽を、強力に支えるベーシストである。 僕は伊藤寛康さんのいないスパニッシュ・コネクションのステージを知らない。 伊藤さんのベースは、サイトにもある通り、揺るぎ無いグルーブ感に満ちている。 そればかりか、ソロプレイの楽しさと言ったら、タダモノではない。 ベースという楽器をあれほど饒舌に歌わせるベーシストは、数少ない。 それもそのはず、"オルケスタ.デ.ラ.ルス"のベーシストとして世界を股に掛けて活躍されていたのである。 ご存じの方も少なくないと思うが、国連平和賞を受賞し、グラミー賞にノミネートされたサルサバンドだ。 グラミー賞の赤絨毯を踏んだ数少ない日本人なのである。 伊藤芳輝さんからこの話を伺った時には、「なるほど~」と、鼻から息を吐いて納得した。 伊藤寛康さんも、スパコネの三人に負けず劣らず、幅広い分野で活躍していらっしゃる。 リーダーバンド、グルーポ・チェベレとI・MA-TOのステージを、ぜひ聴きたい。 なお、苗字は同じだが、ギターの伊藤芳輝さんとは兄弟でも縁戚でもないとのこと。 (面差しが似ているような気がしたんだけどなぁ……) ステージを降りると、春風のようなふんわりとした、ちょっとお茶目なお人柄である。
プロ中のプロ。音楽好きなら、必聴のスパニッシュ・コネクション。 ブログをご覧頂いている皆さまにも、ぜひ、一度、スリリングな音楽の旅を体験して頂きたいと、願うのである。 あなたのMy favoriteに、新たな1ページが加わることだろう。 スパニッシュ・コネクションの皆さま、今回は縦断ツァー中でお疲れのところ、お疲れのところ、お話し頂いたり、お写真を撮らせて下さったりして恐縮でした。本当にありがとうございました。
☆Spanishconnection
☆平松加奈さんのブログ
☆伊藤芳輝さんのブログ
☆吉見征樹さんのサイト
☆伊藤寛康さんのサイト
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