ある日の空 「新緑」
カラマツやシラカバを初めとする低山帯の新緑は、本当に美しい。
かなり昔のこと、今の時期に富山県の黒部峡谷鉄道沿いにある鐘釣温泉に泊まった。
素晴らしい山菜料理を頂きながら、五十代くらいの女将さんと四方山話をした中で、「わたしはここの紅葉も好きだけど、やっぱり新緑の季節が一番いいと思う」と聞いた。
僕はどちらも好きだが、生命が伸びゆく新緑の美しさは格別である。
有終の美である紅葉とは、ひと味違うさわやかさにあふれている。
ゴールデンウィークも引きこもって、ずっと小説を書いていたので、今月の末か六月の頭あたり、北アルプスの山麓にでも新緑を眺めに行きたいものだ。
が、抱えている仕事のペースを考えると、実現できるかどうかわからない……。
写真は群馬県の山の中。寝転んで新緑を眺めていたら、ジェット機が一機、白い航跡を残して飛び去っていった。
数年前の五月。法師温泉に泊まった帰り道だった。