★★谷津矢車先生に『天の女王』のご感想を頂けました!★★
- 2017/04/23 12:22
- カテゴリー:作品・お仕事
『曽呂利!』『しゃらくせえ鼠小僧伝』『信長さまはもういない』などの作品で大活躍の谷津矢車先生が、ツイッターに『天の女王』の素晴らしいご感想をご投稿くださいました。
あまりに嬉しかったので、谷津先生のお許しを頂いてこちらに転載させて頂きます。皆さまにも、ご一読頂ければ嬉しいです。
――「天の女王」(鳴神響一 H&I)読了。各勢力が謀略の限りを尽くす17世紀のスペイン。そんな中、遣欧使節の一員としてスペインに残った日本人、嘉兵衛と外記の二人が、バチカンやイギリス、フランスまでを巻き込んだ大謀略に巻き込まれてゆく……。
いやあ、堪能しました。実にド正面を正面突破した感のある冒険歴史小説です。
本作は実に静と動の対比が鮮烈。本作は嘉兵衛・外記コンビの冒険譚と、スペインの宮廷絵師ベラスケスの懊悩が主軸なのですが、双方の思惑や苦衷が絡み合い、そして最後に合流するさまは実に綺麗です。
動を担う嘉兵衛・外記コンビの活躍はまさにスパイものを見るような躍動感にみなぎっていますし、静を担うベラスケスの懊悩は芸道ものの持つ静かで激しい旋律を描き出しています。
そして本作では、スペインという特殊な国ぶり、さらには当時のキリスト教世界の齟齬を『無原罪の御宿り』からくるマリア信仰によって提示し、これが嘉兵衛・外記二人の陰影にもなっています。う、上手い……。
冒険活劇と芸道もののサンドイッチという豪華な構成、さらにはその本編を挟むロマンチズム溢れる現代パート。豪華なことこの上なし。 とにかく堪能させていただきました。――
谷津先生、素晴らしい書評をありがとうございました。本当に大きな勇気を頂くことができました。心より御礼申し上げます。今後ともご鞭撻のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
★谷津先生の新作『おもちゃ絵芳藤』(文藝春秋)が発売となりました!
幕末から江戸へ向けて、浮世絵を襲った激動の時代に、歌川芳藤を主人公に、国芳の弟子たちが、絵を描き続けてゆく姿を描いた歴史長編です!
僕も注文させて頂きました。拝読するのがすごく楽しみです。 今日は「サン・ジョルディの日」本屋さんにお出かけになったら、ぜひ、お手にお取り下さいませ。