★★谷津矢車先生にご感想を頂きました!★★
大胆な視点で歴史を見つめ、繊細な筆で歴史を描き続ける歴史時代小説界の若手ホープ、谷津矢車先生。
谷津先生に『刑事特捜隊「お客さま」相談係 伊達政鷹』(小学館文庫)の素敵なご感想を頂戴しました。
皆さまにもお読み頂ければ嬉しいです。
――『刑事特捜隊「お客さま」相談係 伊達政鷹』 (鳴神響一 小学館文庫)読了。元捜査一課の刑事・伊達政鷹は諸般の事情で左遷され、「県警お客様相談室」と揶揄される刑事特別捜査隊第四班に配属される。そこで、政鷹はある自殺案件の遺族に遭遇し……。
今、警察もの、リーガルもの作品で好調の著者さんの最新作は警察ものです。けれど、これまでの作品とはちょっとノリが違う。
代表作『真田夏希』シリーズにおいて、ヒロインの夏希は場合によれば捜査本部をも動かす力を持つエリート。
しかし本作においては、窓際部署に飛ばされた政鷹が、ある遺族の心に寄り添い捜査するという、『真田夏希』シリーズとは逆のアングルで描かれています。
この「逆のアングル」というのがミソ。『真田夏希』においては「市民の安寧」「正義の体現」という大義が大きな意味を持つのですが、本作は「ある人の無念」であったり、「心残り」を解決するところに力点が置かれている。
本作においては、自殺と処理されたある女性の心の内を明かしてゆくのがメインストーリーです。隠された真相は何か。そして、死してしまった彼女が何を思い行動していたのか。そこにあるのは大義ではなく、人の情なのです。
政鷹の人物造形もいいですね。彼にはフラメンコのギター演奏能力が付与されている(ちなみに著者さんはフラメンコのファンで知られる)のですが、これが意外なところで彼の年譜に影響し、人物造形のスパイスになっています。詳しくは本書を読んでいただきたい。
(それはそうと、射撃が得意な四班の森君、所持しているライフルに「人間無骨」とか名前をつけているのだろうか。あいや、これは作品とは無関係なつぶやきです、はい)――
谷津先生、お忙しいのに、さっそくお読み下さって素敵なご感想を頂き心より感謝しております。
いつもありがたいお言葉を頂き嬉しく光栄です。
お言葉のように、本作では夏希シリーズとは逆のベクトルで、関係者の心に寄り添う刑事の物語を描いてみました。
今後とも鳴神作品をどうぞよろしくお願い申しあげます。
なお、谷津先生が文末で触れられている「人間無骨」ついては、こちらの記事をご覧下さい。たしかに特4の森くんは無骨ですね。
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