鋭い視点による意欲的な作品を次々に上梓され、大活躍なさっている歴史時代小説界の若手ホープ、谷津矢車先生。(僕より先輩です)
谷津先生が、ツイッターに『多田文治郎推理帖 江戸萬古の瑞雲』(幻冬舎文庫)の素晴らしいご感想をご投稿くださいました。
谷津先生のお許しを頂いてこちらに転載させて頂きます。 皆さまにも、ぜひ、お読み頂ければありがたいです。
――「多田文治郎推理帖江戸萬古の瑞雲」(鳴神響一 幻冬舎文庫)読了。卓越した知識と頭脳明晰の多田文治郎が次に出会う事件は茶会での殺人事件。手口は? 犯人は? 文治郎の推理が光る。シリーズ第三作。
本当に頭が下がります……。刊行ペースももちろんですが、次々に勉強を重ねられ、新作に反映させていくというその作家としての態度に、です。
一巻が猿島、二巻が能、そして三巻が江戸萬古(に茶)。どれもネタにするには勉強・取材が欠かせぬものばかり。これを文庫の刊行ペースでやっておられるという労苦には敬意を表さずにいられません。
ミステリなので詳しいことは何も語れませんが、博覧強記で生真面目な文治郎らしく、着実に推論を重ねていく姿には清々しいものがあります(そしてこの姿は著者さんの姿に他ならない)。ぜひとも今後とも続いていただきたいシリーズです。――
谷津先生、過分なお言葉を頂戴し恐縮です。
猿島は近くにある土地ですし、能楽も陶芸作品も若い頃から好きなものですから、取材にはそれほど苦労しなかったのです。趣味に熱中して遊んでいたことが意外と役に立っているようです。
文治郎は僕も好きなシリーズです。できればずっと書き続けてゆきたいと思っております。
いつも拙作をご高覧下さってあたたかいお言葉を頂き、心より感謝しております。
次回作への大きな勇気を頂戴できました。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、何とぞよろしくお願い申し上げます。
★谷津矢車先生の2月27日ご刊行の最新刊は『奇説無惨絵条々』(文藝春秋)です。
京極夏彦先生からの「戯作、斯(か)くあるべし。」との賛辞をはじめ大評判です。
――超売れっ子の狂言作者・河竹黙阿弥のため、台本のネタ本を探す元絵師で新聞の編集人の幾次郎(落合芳幾)は、古書店の店主から五篇の陰惨な戯作を渡される。
果たして〝人気者の先生〟のお眼鏡に適う作品はこの中にあるのか?(文藝春秋内容紹介より)